全国的には未だ酷暑が続いているものの、自分の住む北陸地方は朝夕にだいぶ冷え込むようになった。ここ数日は部屋の窓を全開にして気持ちよく寝ていたが、起きたときに相当な寒気がし、頭痛も伴うようになってきた。そろそろ風邪をひきそうな気がする。せっかくクーラーなんぞをつけずともよくなったのに、文字通り僅か数日で目論見は崩れ去ることとなった。
　閑散とした住宅街ではこれと言った騒音はないが、窓を開けていると、例えば遙か向こうから聞こえる越後線の踏切の音とか、風が蠢く音が耳に入る。時々暴走族らしきバイクの音や酔っぱらいの叫声が聞こえるが、深夜の薄暗い光を取り入れた部屋の中ではそれも大いなる沈黙を彩るモノでしかない。

　こぉぉぉぉぉぉぉぉぉん。
　おぉぉぉぉぉぉぉぉぉん。

　大気が澄み渡る音に、何もかもが飲み込まれている。

　こぉぉぉぉぉぉぉぉぉん。
　おぉぉぉぉぉぉぉぉぉん。

　どんよりとした昼の名残、生温い空気が空へと吸い込まれ、涼風の吹き込む夜。
　ただただ静かに、空が澄む音を聴く。


　……あれ？
　タイトル関係ないじゃん！！